生活習慣病って?
「生活習慣病」とは具体的にどんな病気か、みなさんはご存じでしょうか?
よく耳にすることはあっても、詳しくは知らないという方が多いかと思います。
生活習慣病は誰でもかかる可能性のある病気です。
健康な身体を守るために、生活習慣病に関する知識を身につけ、予防に努めましょう。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、その名の通り、食事や運動・休養・喫煙・飲酒など、日々の生活習慣が原因で発症する疾患の総称です。
日本人の死因は上から「悪性新生物(がん)」「心疾患」「老衰」「脳血管疾患」「肺炎」「不慮の事故」となっています。
生活習慣と深い関わりのある「がん」「心疾患」「脳血管疾患」がおよそ50%近くを占めています。
つまり、日本人の死因の大半が生活習慣病なのです。
かつては加齢とともに発症・進行するものと思われていたため「成人病」と呼ばれていた病気ですが、子どもの頃からの生活習慣が原因で発症することが分かり、呼び方が変わったとされています。
七大生活習慣病と三大疾病
以下の7つの病気を「七大生活習慣病(七大疾病)」と言います。
日本人がなりやすく、入院患者のおよそ3人に1人はこの七大生活習慣病で入院しているとされています。
- がん
遺伝子に傷がついて分裂が止まらなくなった細胞
- 脳血管疾患
脳の血管のトラブルによって脳細胞が破壊される病気
- 心疾患
心臓に何らかの異常が起こり、血液の循環がうまくいかないことで発症
- 糖尿病
血液中に含まれる血糖値が慢性的に高くなる疾患
- 高血圧性疾患
高血圧によって心臓や動脈に負荷がかかって発症
- 肝硬変
肝臓に長く炎症が起こることで肝臓が硬くなった状態
- 慢性腎不全
腎臓の機能が低下して正常にはたらかなくなる病気
この中でも日本人の死因の上位を占めている「がん」「心疾患」「脳血管疾患」を三大疾病と言います。
生活習慣病になりやすい人
生活面・食事面・運動面から生活習慣病になりやすいとされる人がいます。
以下に当てはまる場合は生活習慣病を引き起こしやすいため、注意が必要です。
生活面
- 40歳以上である
- 体重が20代の頃から10kg異常増えた
- お酒をよく飲む
- タバコを吸う
- 睡眠時間が取れていない
- ストレスが溜まっている
食事面
- 炭水化物をよく食べる
- 脂っこい料理が好き
- 濃い味付けにしがち
- 糖分が多く含まれた飲料をよく飲む
- 間食が多い
- 深夜に飲食する習慣がある
- 野菜をあまり食べない
運動面
- 週に30分以上の運動をすることがない
- 通勤や買い物に車を利用する
- 1日の歩数が7,000歩未満
何を改善したらいい?
乱れた生活習慣を改善するにはどんなことに取り組めば良いのでしょうか?
全国健康保険協会(協会けんぽ)では以下の10か条が推奨されています。
- 適度な運動を毎日続けよう
今より10分多くカラダを動かすことから始めましょう。
- 喫煙者は禁煙を
タバコは多くの有害物質を含むため、自分や周りの人に悪影響を及ぼします。
少しずつ喫煙回数を減らし、禁煙に努めましょう。
- 塩分を控えよう
高血圧や動脈硬化を予防するために塩分を控えるよう意識しましょう。
【塩分摂取量 基準値】
男性:7.5g未満/日 | 女性:6.5g未満/日
- 油っぽい食事は避けよう
脂質の多い食事は肥満や循環器疾患のリスクを高めます。
できるだけ控えるようにしましょう。
- 主菜は ”肉より魚” を
魚に含まれる油にはコレステロール値を低下させるはたらきがあるため、お肉より魚を選ぶと良いでしょう。
- 野菜をたっぷり摂ろう
野菜に含まれる食物繊維にはコレステロール値を低下させるはたらきがあり、1日350g以上摂れると良いとされています。
- お酒はほどほどに
過度なアルコール摂取は中性脂肪を増やす原因となったり、循環器疾患のリスクを高めてしまいます。
節度ある飲酒を心掛けましょう。
- 毎食後に歯を磨こう
虫歯や歯周病は自覚症状がないまま進行してしまいます。
また、歯と口の健康は健康寿命を延ばすと言われています。
健康な歯を守るためにも、毎食後ていねいに歯を磨きましょう。
- 自分に合った方法でストレスの解消を
ストレスの蓄積は生活習慣の乱れや健康のバランスを崩す原因につながります。
早めに解消することが生活習慣の改善へとつながります。
- 規則正しい睡眠で十分な休養を
睡眠は心身の健康には欠かせません。
疲労回復だけでなく、免疫力の向上、生活リズムを整えるなど様々な効果があります。
適切な睡眠時間を確保し、十分な休養を取るようにしましょう。
規則正しい生活習慣を!
生活習慣病は自覚症状がないことが多く、気付かないうちに私たちの健康を脅かしている可能性があります。
生活習慣病の一つである心筋梗塞は、心臓に血液を送る「冠動脈」という血管が塞がって血流が途絶えてしまうことで、心筋に酸素や栄養が届かなくなり、心筋が壊死してしまう病気です。
心筋が壊死すると全身へ血液を送り出す力が弱まってしまいます。
心筋梗塞を患っていても、痛みや発作がなく、病気が進行してしまい、心不全状態(心臓のポンプ機能がうまくはたらかなくなった状態)になってはじめて気付かれるというケースが多いのです。
心筋梗塞に限らず、脳梗塞や狭心症、くも膜下出血などは動脈硬化が進行することによって発症します。
このように、乱れた生活習慣は動脈硬化を進行させ、重篤な健康被害を引き起こす恐れがあるのです。
しかし、生活習慣病は生活習慣を整えることで予防ができる病気でもあります。
生活習慣は幼いころから時間をかけて形成されるため、すぐに改善するのは難しいかもしれません。
そのため、できることから少しずつ取り組んでいき、時間をかけて改善していく必要があります。
適度な運動、バランスの良い食事、十分な休養・睡眠を続けていくことで規則正しい生活習慣が身につき、健康な身体の維持や生活習慣病の予防をすることができるでしょう。