どうして呼吸が止まるの？睡眠時無呼吸症候群の可能性はある？

「夜あまり眠れた気がせず、日中に眠気を感じる」このような方がいる場合、もしかすると睡眠時無呼吸症候群にかかっている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、日中の眠気に加え、さまざまな合併症を併発する場合があります。
本記事では、睡眠時無呼吸症候群の原因や合併症、検査方法や治療方法を解説します。
睡眠のお悩みがある方は医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けましょう。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸状態が繰り返される状態です。
10秒以上気道の空気の流れが止まり、無呼吸が一晩（7時間の睡眠中）に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

寝ている間の無呼吸は、自身で気づくことが難しいため、多くの潜在患者さんがいると想定されています。

睡眠時無呼吸症候群で呼吸が止まる理由はおもに2つあります。

閉塞性睡眠時無呼吸タイプ（OSA）

1つ目は、閉塞性睡眠時無呼吸タイプ（OSA）です。
睡眠時無呼吸症候群の90％程度は閉塞性睡眠時無呼吸タイプであるとされています。

閉塞性睡眠時無呼吸タイプになると、睡眠中に舌の付け根やのどちんこなどが無意識に空気の通り道を塞ぎ、呼吸が止まります。
骨格が大きい方の場合はそれほど影響がありませんが、とくに骨格が小さい場合は舌の付け根や余分な脂肪、のどちんこが気道を圧迫する場合があるでしょう。

中枢性睡眠時無呼吸タイプ（CSA）

2つ目は中枢性睡眠時無呼吸タイプ（CSA）です。
脳から呼吸をするための司令が出ないことが原因で睡眠中に呼吸が止まるとされています。気道は開いているため空気は届いており、神経や肺などには異常がないにもかかわらず脳から呼吸の指示がないために、呼吸することを意識しない状態になります。

睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中に呼吸が止まったり、いびきをかいたりします。
自分では睡眠時間をしっかりとっていると思っていても、無呼吸が続いているため深く眠れておらず、日中に強烈な眠気を感じる場合があります。

また、心臓疾患や脳の血管障害、高血圧やうつ病などが併発する可能性があるため、医療機関を受診する必要があるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群を検査する場合は、簡易型アプノモニターと呼ばれる装置を使用します。

アプノモニターではおもに口や花での呼吸状態と動脈血酸素飽和度を測定します。
測定後、睡眠時無呼吸症候群の可能性があると判断された場合は、精密検査を受けなければなりません。

おもにポリソムノグラフィー（PSG）と呼ばれる検査が実施され、呼吸状態や酸素飽和度に加えて筋電図や脳はなどを測定し、睡眠の質や無呼吸状態を調べます。

ポリソムノグラフィーを実施する場合は、1泊あるいは2泊の入院が必要です。
アプノモニター、ポリソムノグラフィーともにAHI（1時間あたりの無呼吸と低呼吸の平均回数である無呼吸・低呼吸数）を測定し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判定します。

また、閉塞性睡眠時無呼吸タイプか中枢性睡眠時無呼吸タイプかの鑑別をすることで、症状に応じた適切な治療方針が立てられるようになります。

睡眠時無呼吸症候群のおもな治療法は、経皮的気道持続陽圧療法（CPAP療法）です。
経皮的気道持続陽圧療法とは、鼻にマスクをつけ、特殊な機械で圧力をかけて空気を送り込むことで呼吸停止を改善する治療法です。

経皮的気道持続陽圧療法をおこなう際は、身体の状態におうじて肺に空気を送り込む機械を装着しながら一晩眠り、適切な圧力を設定します。次に、圧力を設定した状態で眠り、ポリソムノグラフィー検査で呼吸が止まっていないことを確認します。
治療時は、1泊2日程度入院するのが一般的です。

上記以外の治療法としては、生活習慣の改善が効果的です。
アルコールの摂取や睡眠薬は、喉の緊張を低下させ、無呼吸を増加させるため控えておくことをおすすめします。

また、肥満の方の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるため、定期的な運動や栄養バランスの良い食事管理を徹底するとよいでしょう。

睡眠時無呼吸症候群の状態によっては、耳鼻科医師や歯科医師と相談し、手術や口腔内装具によって治療を受ける必要があります。
医師と相談しながら、どのような治療法が適切かを確認してもらい、改善を図りましょう。

睡眠時無呼吸症候群かも？と思ったら医療機関を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群は多くの診療科で診療されています。

睡眠外来や睡眠センター、内科や呼吸器科、循環器科や耳鼻咽喉科などが対応している場合があります。

気になる方は、お近くの医療機関で検査を受けてください。
睡眠時無呼吸症候群と診断された方は適切な治療を受けましょう。

赤松　敬之（あかまつ たかゆき）

医療法人 星敬会　理事長